空き家・空地が社会問題化している原因の一つは、適切に管理されていない空き家自体の倒壊の危険性とあわせて、その空き家・空地が周辺環境に大きな悪影響を及ぼす「景観の問題」もあります。このページでは、景観の悪化の問題や対策についてご紹介します。
景観を害する空き家・空地とはどのような状態のことを指すのでしょうか。それは、「景観破壊」と「治安悪化」です。
景観を破壊する空き家・空地とは、建物は老朽化し、雑草が高く伸び、長い間人が足を踏み入れていないような状態です。このような家や土地は、景観上良くないだけではなく、不法投棄や害虫・害獣の繁殖の原因となってしまいます。また、このような被害があった場合に適切な対応を取らず放置してしまうと、さらなる事態の悪化が予想されます。「建物は適切に管理する、早めに問題対処する」のが鉄則です。
また、空き家や空地はその周辺の不動産価格にも影響する場合があります。あなたなら、今にも崩れそうな空き家が隣に建っていた場合、何千万円ものお金を出して空き家の隣の家を買いますか?恐らく多くの人は欲しくないと思うでしょう。多くの人が欲しくないと思う家・土地は、多くの人が欲しいと思う家・土地よりも、割安な価格での取引となってしまいます。
例えば、一つの地域内で管理されていない不動産が目立つ場合、そこが「管理されていない地域」だという印象を住民や訪問者に与えます。これは防犯・防災上の不安を増幅させるとともに、地域イメージ(地域ブランド)を大きく損う原因となってしまうのです。
景観破壊を引き起こしている空き家や空地によって、周辺住民が気にするのは治安悪化です。人の目がないことで不審者が家に住み着いてしまったり、不審火が頻発したり、建物に対するいたずらが発生したりといった状況が懸念されます。
みなさんは「割れ窓理論(ブロークンウィンドウズ理論)」というのをご存知ですか?窓ガラスを割れたままにしておくと、その建物は十分に管理されていないと思われ、気軽にゴミを捨てる人が増えます。やがて地域の環境が悪化し、凶悪な犯罪が多発するようになる、という犯罪理論のことです。地域の秩序が乱れていくうちに、最後には重大犯罪を招いてしまうと、米国の心理学者ジョージ=ケリングが提唱したものです。
米国ニューヨーク市ではジュリアーニ市長(在任1994~2001年)がこの理論を応用し、地下鉄の落書きなどを徹底的に取り締まった結果、殺人・強盗などの犯罪が大幅に減少し、治安回復に劇的な成果をあげた、という結果が出ています。
どのように管理すれば治安の悪化や景観破壊の原因とならずに済むのでしょうか。それは「外観を綺麗に保つ」ことです。シンプル過ぎるように聞こえるかもしれませんが、そうすることで建物を犯罪者や犯罪行為からも守ることができるのです。