掲載日:2024年7月29日
空き家の相談窓口事業ならびに空き家管理サービスを展開する特定非営利活動法人 空家・空地管理センター(本部:埼玉県所沢市、代表理事:上田 真一、以下「当センター」)は、当センターが保有する空き家所有者データ(主に空き家所有者が抱える課題の実態)を活用し、今回、金融機関各社(武蔵野銀行ほか)の開発に協力し、空き家の買取り等に限定した当座貸越制度の開発に寄与しました。
空き家は、再建築不可物件や狭小地、借地、管理不全・特定空家等をはじめ、法的・物理的瑕疵を抱えているケースも多く、これまでは買取り・建て替え・リフォームなどに際し、融資困難な空き家が多く存在していました。そのような中で開発された本制度により、これまで困難であった空き家の買取り等に対する融資が可能になり、一層空き家の再生・建て替えなどが促進され、空き家問題の解決が加速化していくことを当センターは目指しております。
日本国内では、急速な少子高齢化に伴う空き家問題が深刻化しています。特に、使途が決まっていない「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は全国に約385万戸あり(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」より)、前回調査の2018年から約37万戸増加しており、国や自治体による対策が進められているものの、今後も増加することが予測されます。
当センターは、空き家所有者等から年間2,500件以上におよぶ相談を受けるワンストップ相談窓口として、不動産会社、リフォーム会社、解体会社、士業等と連携したネットワークを構築し、所有者が抱えるあらゆる課題の最適解を導きながら、放置空き家の解消に努めています。
しかしながら、空き家をそのままの状態で売却や賃貸できるケースは多くなく、解体やリフォームを要する空き家もあれば、買い手や借り手がつかない空き家もあります。そのような状態を打開する一手として、まちづくりを担う地域に密着した不動産会社等が空き家を買取り、それぞれのまちに求められる形へ変換していく動きが昨今求められつつありますが、これまでは空き家に多い瑕疵物件に対する融資が難しいことが、買取り促進の足枷となっていました。
そうした中で、当センターでは金融機関への度重なる要請のもと、武蔵野銀行ほか金融機関による空き家の買取り等に限定した当座貸越制度の創設につなぐことができました。
事例①
【利用対象物件の所在地】
・東京都清瀬市
【利用用途】
・不動産取得(3,000,000円)
【利用対象物件の状態】
・築年数:50年
・狭小地(60㎡)
・増築部分未登記(建蔽率・容積率超過の違法建築物)
・室内等に残置物あり
・外壁部分の越境や屋根等の劣化により周囲に危険が
及ぶ可能性が高い状態
【実行額】
・3,000,000円、今後解体予定
事例②
【利用対象物件の所在地】
・埼玉県入間市
【利用用途】
・不動産取得(13,000,000円)
解体(1,650,000円)
【利用対象物件の状態】
・築年数:45年
・大通り沿い
【実行額】
・14,000,000円
事例③
【利用対象物件の所在地】
・東京都国立市
【利用用途】
・不動産取得(7,000,000円)
【利用対象物件の状態】
・築年数:58年
・増築部分未登記(容積率超過の違法建築物)
・室内等に残置物あり
・庭木の隣地越境あり
【実行額】
・7,000,000円
特定非営利活動法人 空家・空地管理センターは、空き家に関わるあらゆるお困りごとをワンストップで解決するための総合相談窓口です。社会問題化する「放置空き家」を無くすことを目的に2013年に設立し、各自治体と連携を図りながら活動を行っており、2024年4月には、東京都からの業務委託を受け、「東京都空き家ワンストップ相談窓口」の運営を開始いたしました。
なお、当センターは、空き家問題に知見を持つ専門スタッフが窓口となり、不動産会社、解体会社、リフォーム会社、司法書士、税理士などとの連携を図りながらワンストップで対応する体制を構築し、ご相談者の負担や不安、不信感のない相談環境を提供しています。