空き家の多くは木造住宅ですが、その木造住宅にとってシロアリは天敵です。シロアリが建物に侵入すると、建物の土台や柱や梁に使用されている木材を食べてしまい、建物の強度が弱くなる被害が発生します。そのため、建物が傾いてしまったり、地震や台風時には倒壊したりといった深刻な被害が発生する恐れもあります。 平成27年5月に施行された空き家対策特別措置法では、「特定空き家」の判断基準の一つとして、「土台のシロアリ被害が著しい」と、シロアリ被害に関する具体的な内容が提示されました。このページでは、シロアリから建物を守るために、どのようなことに気をつければよいのか、シロアリ被害や対処方法などをご説明します。
シロアリには様々な種類がいますが、中でも多いのはヤマトシロアリ、イエシロアリの2種類です。白アリのほとんどは地中から侵入し床下や建物の土台部分から食べていきます。残り2割ほどは空から羽アリが飛んできて、建物の外側から侵入するといわれています。
種類 | ヤマトシロアリ | イエシロアリ |
---|---|---|
見た目 | 背中の一部と足先は黄色、他は透き通った黒 | 茶褐色 |
(羽ありの) 飛散時期 | 4月~6月 | 6月~7月 |
被害場所 | 建物土台部分、床下 | 建物全体 |
食痕 | 多湿で汚ない | 乾燥していてきれい |
シロアリは、日当たりが悪く暖かい、湿気の多い場所を好みます。また、光や風、熱い場所を嫌うため、風通りの悪い台所、洗面所、トイレ、お風呂場の床下はシロアリが特に好む場所になっています。特に、空き家となっている場合は、換気や通風が不十分なため、シロアリにとって格好のすみかとなってしまうのです。
シロアリの被害で最も多いのは、土台や床束、柱と呼ばれる建物下部の構造部分です。建物を支える構造部材が被害を受けた場合は大がかりな補強が必要となり、柱が傾いたり浮いたりしていると、地震や台風の際、建物が倒壊してしまう可能性まであります。
建物の土台部分がシロアリの被害に遭って、そのままに放置しておくと、壁や壁に設置した断熱材までもがシロアリの被害にあいます。壁には穴があいてしまうこともあります。
雨漏りをしている天井裏や窓枠などはシロアリが大好きな湿気が多く、広範囲にわたって被害が及ぶことがあります。
木材と同じ植物である畳にも、シロアリに食害されることがありますが、建物が傾くなどの深刻な被害には繋がりません。ただ、畳から構造部へシロアリが移動していくので注意が必要です。
たんすなどの木材を使用した家具類、押入れに保管していた書籍や紙類までもシロアリは食べてしまうことがあります。畳同様、建物の強度には直接関係はありませんが、家具類から構造部へ移動する可能性があるため、発見したらすぐに対処する必要があります。
コンクリートで建築された強固な建物でもシロアリは侵入します。木造に比べるとシロアリ被害の可能性は低くなりますが、コンクリートの先にある木材のにおいをかぎつけ、掘り進めていきます。
簡単にできる、室内や建物の外観からのシロアリ被害の発見ポイントを紹介します。
シロアリは床下にいることが多いため、床下を定期的に点検することが重要です。キッチンなどにある床下収納を外して、頭をそこから入れて床下を点検してみてください。食害の跡があったり、土がしめっているようであれば注意が必要です。
シロアリから建物を守るために、重要なことは被害にあわないための「予防」です。
風通しの悪い部屋は、窓を開けたり室内の湿度を下げたりして換気を行うことが重要です。また、建物の土台部分や床下の被害は見つけることが難しいため、専門業者に依頼し、定期的に点検を行うことが最も効果的な予防策です。
シロアリが発生してしまうと、上記で挙げたような建物自体の被害があるだけでなく、その建物の市場価値を大きく下げてしまいます。
現在、中古不動産流通に関わる新たなガイドラインでホームインスペクションの義務化が検討されています(2015年6月現在)。
当センターが提供する、空き家管理サービス「しっかり管理サービス」では、建物の外観や室内を目視で点検していきます。劣化している箇所がないか調査をおこない、シロアリ被害があった場合でも、毎月点検を行うことで、被害が広がる前の早い段階で発見し対処することができます。