「父が残した大きな家が、いつの間にか“林”になってしまった――」
ご相談者さまがそう話す空き家は、敷地600坪。10年以上も放置され、木々が生い茂り、敷地内に入るだけでも一苦労の状態でした。屋根は抜け落ち、外壁も崩壊。中に入っても、もはや住めるような状態ではなく、建物の脇には誰かがたき火をしたような焼け跡も残っており、管理の面でも大きなリスクを抱えていました。
問題を複雑にしていたのが、所有者が兄弟6人に分かれていたこと。それぞれの考えや想いがすれ違い、活用も売却もできないまま年月だけが過ぎていったそうです。
まずは現地の状況を把握した上で、所有者それぞれと丁寧に対話を重ねました。そのなかで「このままでは不動産の価値が下がり続けてしまう」「子どもたちに負の遺産として残してしまう」という不安の声が多く聞かれました。
現時点で建物の利用は現実的でないこと、また管理にも費用と労力がかかることから、私たちは不動産会社とも連携し、“売却”という選択肢を提案。全員から売却の同意は得られたものの、価格面での折り合いには時間がかかりました。
不動産会社が中心となって調整を行い、数か月に及ぶ交渉の末、全員が「この問題を次の世代に残さない」という共通の思いをもとに合意に至りました。
十年以上にわたる兄弟間の対立も、ようやく幕を下ろすことができました。
「もう時間は戻せないけれど、解決できて本当に良かった」と話す相談者の表情には、深い安堵の色が浮かんでいました。
※建物の修繕・解体、不動産の賃貸・売買及びその媒介などの活用は、必要とされる許認可を持つ事業者の協力を得て行っており、当センターが直接行っているものではありません。予めご了承ください。