2016年6月18日 公開
少し前の話ですが、沖縄県宮古島市にある空き家についてご相談を受けました。誰も住んでいない実家を相続したけれど何から始めたら良いか分からない…というものです。
まだ何もされていないということでしたので、まずは相続人の確認です。相続人は誰で、何人いて、どこにいるのかの確認を行います。そこで、まずは現在登記されている所有者は誰かを調べたところ、建物はお父様名義でしたが、土地はお父様ではない別人の名義になっていることが判明しました。
ご本人に確認してみると、恐らく曾おじい様ではないかとの事でした。司法書士の先生に依頼をして調査をしてもらうと、やはり曾おじい様のようです。つまり、土地は曾おじい様からおじい様の代、そしておじい様の代からご相談者の親世代への相続手続きがされていなかったのです。宮古島は子沢山で有名らしく、この方には兄弟が6名、お父様の兄弟が9名、おじい様の兄弟は7人という大家族です。そのため、会ったこともない遠い親戚を含めて百人近くの所有者(権利者)がいることが判明しました!
権利のある親戚たちに相続放棄のお願いをしていますが、宮古島に住んでいる方は半分くらいしかおらず、連絡を取るのにも苦労の連続でした。やっと探し出しても、相続放棄に応じてくれなかったり、買取請求を主張されたりする方もいます。現在の建物ができたのは60年近く前の話。それからずっとご両親が住んでおり、他の人から権利を主張されたことは無かったにも関わらずです。
最終的には相続登記をすることができましたが、想定していた以上の時間とお金(調停及び司法書士費用)がかかってしまいました。その後、この空き家は解体・売却されましたが、売却価格は相続登記にかかった費用よりも低く、実家だけで考えると赤字となってしまいました(預金の相続もあったため全体ではプラスの相続でした)
何代も相続登記がされておらず権利人が大勢いる、所有者のうち誰かが行方不明になっているなど、実家の相続で問題が起こるのは決して珍しいケースではありません。このような事態にならないよう、まだ親御さんが元気なうちに、実家の権利関係などを調査・整理しておくことが相続トラブル防止には重要です。