2015年12月7日 公開
時事通信社の記事によると、特定空き家の指定は全国11市町村で28軒となっています(適正管理の勧告を行うことで「特定空き家」へ指定されます)。これは10月1日までの統計なので、現在はさらに多くの空き家が特定空き家に指定されているものと予想されます。全面施行からまだ4カ月ということもありまだ特定空き家の指定は多くありません。当センターで情報交換を行っている行政の方々からも、特定空き家指定を含めた空き家対策特別措置法の運用はこれから本格化されていくということでした。つまり、今特定空き家に指定されていないからといって、今後も大丈夫ということではありません。
実際に、177もの自治体が2512軒の空き家に対して適正管理に関する「指導」と「助言」を10月1日までに行ったそうです。当センターの対応エリア内でも、多い・少ないの差はありますが、「指導」や「助言」といった行政指導はさほど珍しい対応ではありません。特に、倒壊の危険性が高いや建材が飛散しそうなど、危険性・緊急度がともに高い場合は行政指導がされる可能性が高くなっています。重要なのは、近隣住民の方が危険だと感じるまで空き家を放置しないということです。
また、特定空き家に指定されたまま1月1日を迎えてしまうと、平成28年度の固定資産税と都市計画税では住宅用地の特例が無くなり、固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍に増額されてしまいます。もちろん、12月中に今の危険状態が解消されれば特定空き家への指定は解除されます。
「特定空き家」に指定されたまま放置してしまうと、固定資産税・都市計画税の増額だけでなく、適正管理の「命令」がされ、最悪の場合は行政が所有者に代わり空き家を解体するなどをする「行政代執行」がされてしまいます。同記事によりますと、10月1日までに命令に至った空き家はありませんでしたが、長崎県新上五島町と神奈川県横須賀市でそれぞれ1軒の空き家が行政代執行されました。来年4月からは行政代執行向けの予算確保をする自治体も増え、「命令」や「行政代執行」もより頻繁に行われると思われます。そうらないためにも、定期的な空き家管理が必要となるのです。