2015年11月30日 公開
国土交通省が行った「平成26年空家実態調査」によると全国で空き家管理サービスを利用しているのは僅か3.6%。そして、空き家管理を「委託するつもりはない」との回答が77.2%に上りました。この結果を見ると、空き家管理の普及にはまだまだ時間がかかりそうですが、そもそも空き家管理サービスに対するニーズは本当にそれだけなのでしょうか。
同調査では、空き家の適正管理に対する課題として、「遠方に住んでいて管理が困難」とする人が21.5%と全体の5分の1に及びます。また、「管理の作業が大変」という方も23.6%おり、空き家管理に対するニーズは一見高いのではと思う回答も目立ちます。ではなぜ、様々な課題があるにも関わらず空き家管理を委託するつもりがないのでしょうか。
現在、空き家管理を行っているのは「所有者やその親族」が81.7%と全体の5分の4程度います。つまり、所有者自身やその子供、親族たちが出来る範囲で管理をしているのが実情ではないでしょうか。管理頻度は当センターの空き家管理サービスと同等の「月1回~数回」が34.3%と最も多い反面、「年に1回~数回」が23.1%と第2位にランクインしています。そもそも「誰も管理していない」という人も4.0%もいる状況です。
所有者やその親族は空き家管理を「委託するつもりはない」と思っていても、近隣住民の人たちからしたら適正な管理をしてもらわないと困る、というのが空き家対策特別措置法が制定された理由です。委託するつもりはなくても、最終的には体力的な理由などから委託せざるを得ない、という方が当センターの利用者でも多いのが現状です。そのため、今回の調査では所有者の方たちの意向は正しく反映されているのではないかと思います。それと共に、所有者の適正管理に対する意識についての実態も浮き彫りにされたかと思います。
同調査では、今後5年間の空き家の予定を聞いています。その他住宅(一般的な空き家)のカテゴリで最も多かったのは「空き家のままにしておく(31.9%)」でした。今後の課題は、管理を「委託するつもりはない」所有者の方たちに、どうやって適切な空き家管理を行っていただくか、そして、自身で十分な管理ができない場合、いかに空き家管理サービスを利用してもらうかということだと感じた調査でした。
平成26空家実態調査 調査結果の概要(外部サイト)