2015年10月7日 公開
当センターには、空き家の地震保険についても多くお問合せいただいております。ほとんどの空き家は建築されてから35年以上経過しているため、十分な耐震性能を有していないケースが目立ちます。耐震性を高めるには耐震診断と耐震化のリフォームが必要になりますが、そこまでの投資は難しいと諦められる方も多いのが現状です。建築基準法が改正されたのが1981年。それ以前に建てられた住宅は旧耐震物件と呼ばれ、中古住宅市場でも相場価格よりも割安になってしまったり、古家付土地として販売されてしまったりしています。
国土交通省の資料によると、全国に約6,063万戸ある住宅ストックのうち、約900万戸が1980年以前に建築された耐震性のない住宅となっています。主にはそれ以前に建築された木造住宅で、このうち約4分の3が戸建(または長屋)の住宅です。耐震性が不足している建物はそれほど珍しい存在ではないのです。
ちなみに、地震がきた時に、空き家が倒壊して人にケガを負わせてしまった場合、所有者の責任はどうなると思いますか?これに対して明確な法律上の答えは有りませんが、参考となる阪神淡路大震災時の判例があります(神戸地裁平成11年9月20日判決。判例時報1716-105)。賃貸マンションが倒壊し入居者が死亡してしまったケースでは、建物の所有者に1億2,900万円の損害賠償命令が出されました。ポイントとなったのは、この建物が建築当時の耐震基準をも満たしていなかったと推測されたため、建物に瑕疵(欠陥)があったとされた点です。
皆さんは、ご自身が住んでいる家や、空き家になっている実家が、建築当時の耐震基準を守られて建築されているか知っていますか?恐らく、この賃貸マンションの所有者もまさか建築当時の基準すら満たしていなかったとは知らなかったのではないでしょうか。所有している不動産のことをよく知らない、というケースは驚くほど多くあります。この機会に、土地や建物について調べてみてはいかがでしょうか。
※ 地震保険は一般的に火災保険とセットでの加入が必要です。また、あまり知られていませんが、地震保険は単独では加入することもできます。ただ、一部の保険会社では空き家の地震保険加入を認めていませんので、ご加入の火災保険会社に確認をしてみてください。