2019年5月1日 公開
平成31年4月26日に平成30年住宅・土地統計調査の概数が公表されました。調査によると全国の空き家数はおよそ846万戸(前回調査では約820万戸)、全住宅に占める空き家の割合(空き家率)は13.55%(前回調査では約13.52%)となりました。それぞれ平成25年の前回調査の数値を超え、過去最高を記録しました。
ただ、空き家数は1,000万戸程度、空き家率は16%程度まで上昇するという民間予測値と比較すると空き家の増加は少なかったという結果となりました。
空き家の種別で見てみると、「その他住宅」の空き家が347万戸と約29万戸増加しました。ただ、過去10年間では年間10万戸程度の増加であったため増加ペースは鈍化しました。
また、「賃貸用の住宅」は431万戸(同2万戸増)と微増、「売却用の住宅」が29万戸(同1万戸減)、「二次的住宅」が38万戸(同3万戸減)となり、「その他住宅」の空き家以外はほぼ横ばいまたは減少となった点も特徴として挙げられます。
「その他住宅」の空き家では、全ての建て方で空き家数が増加し、特に木造戸建では2,388,400戸と前回調査から188,500戸増と大きく増加しました。また、権利関係が複雑で解決が難しい長屋住宅も約10.6%増加し657,100戸となりました。
平成25年から30年までの5年間で政府、地方自治体はさまざまな空き家対策を講じてきました。その成果が空き家数増加の抑制に繋がっているのではないかと思われます。
空き家等対策特別措置法による特定空き家への措置は全国493自治体が取組み、助言・指導が13,084件、勧告708件、命令88件、行政代執行118件(略式代執行含む)となっています。空き家対策の前提となる空き家等対策計画も全国1,122自治体で策定が終了しています。
また、古い空き家を売却した際に譲渡所得税を減税する特例は、その利用に必要な証明書発行が13,351件の発行となりました。(全て制度創設から平成30年10月1日までの累計)
このように政府・自治体による対策は一定の効果を見せていますが、空き家数は一貫して増加していることが改めて示されました。今後は空き家の適正管理や利活用を促進していくため、さらなる対策が必要とされています。
行政による取組みはもちろん、民間の取組みが今後は大きな鍵を握っていると当センターでは考えています。所有者やその家族が安心して相談できる窓口設置や空き家所有者向けのサービス開発などが急がれます。