2018年3月29日 公開
平成30年度の公示地価が国土交通省から発表になりました。
公示地価とは、国が年に1回、特定の土地価格を調査して公表しているもので、公共事業の際に土地取得価格の目安として利用されているものです(例:道路拡幅のための用地収用など)毎年1月1日時点の価格を3月下旬に公表しています。
公示地価では、商業地や工業用地、住宅用地といった用途別の集計を行っていますが、全国では全ての用途が3年連続で上昇しました。また、東京や大阪、名古屋といった3大都市圏が地価上昇を牽引してきましたが、今年は3大都市圏を除く地方圏の公示地価も26年ぶりに上昇したことが大きく取り上げられています。ただ、この地方圏には、札幌、仙台、広島、福岡の地方4大都市も含まれており、地方4大都市以外の住宅地は概ね下落基調のまま(全8,480地点中5,020地点で下落)でした。
全国でも特に下落率が大きかった上位10地点のうち、三浦市が3か所(1位、2位、3位)と横須賀市2か所(6位、8位)と神奈川県にある三浦半島の下落が目立ちました。三浦市と横須賀市は空き家率も高く、三浦市が17.4%(県内2位)、横須賀市が14.7%(県内5位)と神奈川県平均(全52市区町村郡)の12.0%を大きく上回っています。空き家の増加と地価下落は地方だけの問題ではなく、首都圏でも進んでいることが見て取れます。
また、今回の公示地価では駅からの距離が離れるほど地価下落のペースが速いという結果になりました。同様に、空き家が多い地域の特徴としても駅から離れていることが挙げられます。駅からの距離別で空き家数と地価下落率を比較すると、ともに駅からの距離が離れているほど空き家数、地価下落ともより深刻であるということが分かります。
報道では地価の下落が止まったというような表現も目にしますが、実際は大都市の利便性の良い地域に人が集中し、大都市圏ではない住宅街、特に駅から離れている地域では地価は下落を続けており、空き家数も増えているという結果となっています。駅から離れた住宅街は高齢化率が高いという特徴もあり、今後はより一層、地価下落と空き家数が増加していくことが予想されています。
大都市圏以外、特に駅から離れた場所にある空き家の活用をどのように進めていくかが、今後の地価下落を食い止める上では非常に重要になっていきます。当センターでは、解体を促進していくことはもちろん、人が住むという住宅用途以外への転用(例えば宿泊施設やレストランなど)や、都市部と田舎での二地域居住(週末だけに利用する別邸)といった取組みを今後も進めていきます。