2018年1月31日 公開
当センター代表理事の上田真一は、いくつかの市町村で空家等対策協議会の委員も務めさせていただいております。空家等対策協議会とは、空家等対策特別措置法(空き家法)に明記されているもので、空き家の適正管理や利活用に関する計画策定などを行う組織となっており、各市町村ごとに設置することができるとされています。
2018年1月30日に、そのうちの一つ、沖縄県宮古島市の第2回空家等対策協議会へ参加してきました。宮古島市は海がきれいなリゾート地として人気の場所ですが、市内中心部やビーチ沿い以外の場所ではやはり空き家が増えてきています。そこで、宮古島市の空家等対策協議会では、空家等対策計画の策定を行っています。この計画は空き家の適正管理をどう進めていくか、啓発活動をどうするか、利活用をどうするかなど、市の指針を示すものです。宮古島市では老朽化した空き家は市内全域に点在しているため、適正管理の取組みが重要であるのはもちろん、市内中心部やビーチ周辺では住宅が足りず、空き家の活用促進が課題となっています。
宮古島の資料で興味深いのは、沖縄特有の空き家事情です。例えば、宮古島市の空き家実態調査によると鉄筋コンクリート造の空き家が全体の83.5%と多く、また平家建ての空き家がほとんど(91.4%)です。これは台風が多く木造住宅では老朽化していなくても倒壊などの恐れがあるためです。また、海からの潮風による塩害や台風の影響もあるためか、破損・普及のある空き家は44.2%と多くの市町村と比較して多くなっています。
さらに、空き家になっている理由として仏壇が置いてある(30.6%)、祭事等で使用するといった方が多い(28.2%)のも特徴的です。沖縄では、今でも家督相続が一般的であったり、仏壇を移動することができない、といった文化も空き家問題の原因になっているのです。このような特徴がある空き家をどう管理して利活用に繋げていくか、実効性のある対策計画を作っていきたいと思います。
今回の協議会でも活発な議論が行われ、その修正を加えたものでパブリックコメントを募集する予定です。パブリックコメントを反映させた空家等対策計画を基に、宮古島市では来年度以降にさまざまな空き家対策を進めていく予定です。当センターも情報発信などを通した啓発活動をはじめ、宮古島市でも空き家問題の解決に取り組んでいきます。